【Web特集】南海トラフ地震臨時情報発表中!南海トラフ地震臨時情報とは?南海トラフ地震関連解説情報についても紹介!
南海トラフ臨時情報(巨大地震注意)発表
2024年8月8日に日向灘で地震 宮崎で震度6弱 九州~四国地方に一時津波注意報
地震発生当初のリアルタイム地震ビューワーの様子
2024年8月8日午後4時43分頃、日向灘を震源とする地震がありました。この地震で宮崎県で震度6弱、特に九州の南部や四国南部などでも震度5強を観測するなど、被害をもたらしました。また、緊急地震速報(特別警報)発表後、津波注意報が発表され、九州~四国地方で最大で50cmの津波が観測されました。地震の規模を示すマグニチュードは7.1と推定されています。また、震源の場所が気象庁が定める、監視区域内の中であったこともあり、マグニチュード6.8以上の地震が発生したため、「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」が発表され、後に、巨大地震の発生の可能性が相対的に上がったとして、「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。ちなみに気象庁が「南海トラフ地震臨時情報」を運用し始めて以降、初めての発表となりました。これによって広範囲にわたる地域で南海トラフ巨大地震への防災対策を急ぐなど、対応に追われました。
気象庁が運用する「南海トラフ地震臨時情報」とは?
では、南海トラフ地震臨時情報とは一体どのようなものなのか解説すると、気象庁が定めるところの、「南海トラフ地震に関連する情報」の1つで、発表条件として、「南海トラフ沿いで異常な現象が観測され、その現象が南海トラフ沿いの大規模な地震と関連するかどうか」、「観測された異常な現象の調査結果を発表する場合」の2つです。2024年8月8日に発生した日向灘の地震は、発表条件に当てはまるため、「南海トラフ地震臨時情報」が発表されたのです。
調査中の場合
ここで、気象庁で「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」が開催されます。最初に臨時情報が発表されるときはこの「調査中」から始まります。
(情報出典:気象庁ウエブサイト「南海トラフ地震に関連する情報の種類と発表条件」)
条件1.監視区域内でM6.8以上の地震が発生した場合
※気象庁の監視区域内(区域は想定震源域全体、そして想定震源域の海溝軸外側50km程度までの範囲)でM6.8以上の強い地震が起きた場合、この条件が適用されます。2024年8月8日の日向灘の地震が気象庁の監視区域内であったため、臨時情報発表の対象となりました。
(※太平洋プレートによる沈み込みによる震源の深さがかなり深いところの地震は含みません。)
条件2.1カ所以上のひずみ計での有意な変化と共に、他の複数の観測点でもそれに関係すると思われる変化が観測され、想定震源域内のプレート境界(下図赤枠部)で通常と異なるゆっくりすべり(スロースリップ)が発生している可能性がある場合など、ひずみ計で南海トラフ地震との関連性の検討が必要と認められる変化を観測
そもそもひずみ計とは何なのか、気象庁ウエブサイトの説明を見てみると...。
ひずみ計とは、地下の岩盤の伸び・縮みを非常に高感度で観測できる地殻変動の観測装置のことです。ボアホールと呼ばれる直径15センチメートル程度の縦穴を数百メートル掘削し、その底に円筒形の検出部が埋設されています。
地下の岩盤は、周囲からの力を受けて、ごくわずかですが伸び縮みします。ひずみ計は、その検出部が岩盤と同じように変形することで、岩盤の伸び縮みを検出します。その精度はきわめて高く、岩盤の伸び縮みを10億分の1の相対変化まで測定します。この相対精度は、小中学校にあるプール(長さ25メートル、幅10メートル、深さ1.5メートル程度)に水を満たし、直径1センチメートルのビー玉を入れた時に生ずる、ごくわずかな体積の変化でも検出できる精度です。
プレート境界のゆっくりすべり等に伴うごくわずかな岩盤の伸び縮みを捉えるため、気象庁、静岡県及び産業技術総合研究所は、南海トラフ沿いにひずみ計による地殻変動の観測網を展開しています。各観測点の観測データは、常時、専用回線で気象庁に集約されます。このデータは、南海トラフ地震に関連する情報の発表のために使われています。 (出典:気象庁ウエブサイト「ひずみ計とは」)
気象庁及び静岡県により東海地域に設置されたひずみ計、産業技術総合研究所により愛知
県、三重県、和歌山県、高知県、愛媛県に設置されたひずみ計の合計39か所からのデータを
基に判断されます。ちなみにひずみ計の所在地は下記のリンク先に掲載されています。
「南海トラフ地震に関連する情報の発表に用いるひずみ計観測点」(気象庁ウエブサイト)
ちなみに、ゆっくりすべりとは、スロースリップとも呼ばれる現象で、普通の地震によるプレートのすべり(スリップ)よりもはるかに遅い速度で発生する滑り現象のことです。
条件3.その他、想定震源域内のプレート境界の固着状態の変化を示す可能性のある現象が観測される等、南海トラフ地震との関連性の検討が必要と認められる現象を観測
巨大地震注意の場合
巨大地震注意は、南海トラフでの巨大地震発生の可能性が通常時よりも相対的に高まっていると判断された際に発表されます。発表された場合は、常日頃の防災対策を行うとともに、避難経路の再確認などが必要です。沿岸沿いにいる人などは、判断に応じて、自主避難等を行うこともあります。
条件1.監視領域内において、モーメントマグニチュード(Mw)7.0以上の地震が発生したと評価した場合(巨大地震警戒に該当する場合は除く)
2024年8月8日に発生した日向灘もこの条件が当てはまったため、「巨大地震注意」が発表されました。
※断層のずれの規模(ずれ動いた部分の面積×ずれた量×岩石の硬さ)をもとにして計算したマグニチュードです。従来の地震波の最大振幅から求めるマグニチュードに比べて、巨大地震に対してもその規模を正しく表せる特徴を持っています。ただし、このマグニチュードを求めるには若干時間を要するため、気象庁が地震発生直後に発表する津波警報等や地震速報には、地震波の最大振幅から求められる気象庁マグニチュードを用いています。
(尚、太平洋プレートの沈み込みによる震源が深い場所での地震はこの条件には当てはまりません。)
条件2.想定震源域内のプレート境界面において、通常と異なるゆっくりすべりが発生したと評価した場合
※ゆっくりすべり(スロースリップ)の解説はこちらをご覧ください。
巨大地震警戒の場合
この場合は、住民はあらかじめ避難をする必要があります。(これを事前避難と言います)
この場合、南海トラフの想定震源域の半分が割れることを指します。
この「巨大地震警戒」が発表された場合、残りの割れていない部分での巨大地震がいつ発生してもおかしくない状況のことを指します。
条件.想定震源域内のプレート境界において、モーメントマグニチュード(Mw)8.0以上の地震が発生したと評価した場合
※断層のずれの規模(ずれ動いた部分の面積×ずれた量×岩石の硬さ)をもとにして計算したマグニチュードです。従来の地震波の最大振幅から求めるマグニチュードに比べて、巨大地震に対してもその規模を正しく表せる特徴を持っています。ただし、このマグニチュードを求めるには若干時間を要するため、気象庁が地震発生直後に発表する津波警報等や地震速報には、地震波の最大振幅から求められる気象庁マグニチュードを用いています。
調査終了の場合
条件.巨大地震警戒、巨大地震注意のいずれにも当てはまらない現象と評価した場合。
ちなみに、「南海トラフ地震に関連する情報」の中には、「南海トラフ地震関連解説情報」と呼ばれるものがあります。そちらも解説します。
南海トラフ地震関連解説情報とは?
南海トラフ地震解説情報の文面
南海トラフ地震解説情報とは、南海トラフ沿いの地殻活動の評価結果や、地震活動の観測状況や地殻変動の観測状況情報が含まれています。これは南海トラフ地震臨時情報が発表されていないときでも、日々、南海トラフに関する地震活動の調査結果や地殻変動の評価などが発表されます。
この情報の発表条件
条件1.観測された異常な現象の調査結果を発表した後の状況の推移等を発表する場合
条件2.「南海トラフ沿いの地震に関する評価検討会」の定例会合における調査結果を発表する場合(ただし南海トラフ地震臨時情報を発表する場合を除く)
今回は南海トラフ臨時情報について、ご紹介いたしました。また、南海トラフ地震解説情報についても、ご紹介いたしました。引き続き、気象庁から発表される情報や、警報注意報などにご注意ください。
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■関連リンク
気象庁 Japan Meteorological Agency
防災情報のページ - 内閣府
気象庁|南海トラフ地震について | 南海トラフ地震に関連する情報の種類と発表条件
気象庁|南海トラフ地震について | ひずみ計とは
南海トラフ地震臨時情報が発表されたら! : 防災情報のページ - 内閣府



